わからんから面白い魏志倭人伝

三国志の時代の魏志倭人伝にはわからん事が多い。わからんからそのまま想像力を働かして楽しんじゃお!

郡・国名の重複ー後漢書地理志の場合

前回、三国志東夷列伝(魏志倭人伝含む)と漢書地理志における国名の重複について紹介した。 その結論は、上記史書には国名の重複が存在する。 例えば魏志倭人伝では「奴国」が重複する。 その重複は、単なる間違いとは思えない。何らかの意図があるように見…

国名の重複ー三国志列伝(魏志倭人伝含む)と漢書地理志

孫栄健という方の「邪馬台国の全解決」(2018年)という本が面白い。 何が面白いかというとご本人が中国の史書を深く広く読んでいるからだ。 中国の史書を読む上で中国人は圧倒的に強い。自国語だから当たり前の話だ。 しかし日本の学者さん達の中にはその当…

魏志倭人伝にある距離(里数)を真面目にとらえてはいけない。

魏志倭人伝にある距離(里数)をそのまま地図に描くと、邪馬台国は太平洋の中に没してしまう。 という事は、魏志倭人伝にある距離(里数)を真面目にとらえてはいけない。 とは言っても、他に資料はないから、学者も素人も、魏志倭人伝にある距離(数字)を…

和船の水を漏らさぬ技術

前回に続いて和船の基礎技術について記す。www.aki104.com 大洋を航海できるような、大きな木造船を作るには、何枚もの板を剥いで(互いに側面でくっつけて)水を漏らさぬ一枚板のように加工する技術が要る。 さもないと、海水が船内に漏れ込んで船が沈没し…

倭が大型の構造船・凖構造船を作るための基礎技術

以前、卑弥呼の時代の倭の船は丸木舟だった、という記事を書いた。 www.aki104.com 同じ頃、中国の魏や呉では、現在の木造船とほぼ同じく、板材をつなぎ合わせて作る大型の構造船・凖構造船があったらしい。 www.aki104.com しかし、この板材をつなぎ合わせ…

 陳寿さんの立場から見聞した倭人と倭国について

三国志は魏蜀呉の三皇帝が並立した面白い時代を記述したものだ。 その中に魏志倭人伝(正確には三国志・魏書・烏丸鮮卑東夷伝の中の倭人条)がある。 三国志の著者は陳寿という人だ。 www.aki104.com 陳寿さんの立場から見聞した倭人と倭国について想像して…

史家の功名心

史書の成立 中国の史書というと、史記・漢書・後漢書・三国志と続く。 しかし成立年代となると、この順序ではなく、史記⇒漢書⇒三国志⇒後漢書だ。 後漢書の成立がやたらと遅くなってしまった。陳寿さんの三国志の成立から200年近く遅れて成立したのだ。 なぜ…

魏の使節は卑弥呼に会ったか?

魏志倭人伝によると、西暦238年の女王卑弥呼の朝貢に応える形で、2年後に 梯俊等が皇帝の手紙(詔書)と印綬をもって、倭國を訪れ倭王に会った。漢文では 梯俊等奉詔書印綬詣倭國拜假倭王 とある。その後にも倭王が魏の使節に感謝しており、また再び倭王が…

「倭」は本当に「ワ(wa)」と発音するか?

「倭」を普通に「ワ」と言い慣わしている。「倭人」は「ワジン」だ。「倭寇」は「ワコウ」だ。 しかし、当時本当に「倭」を「ワ」と発音しただろうか? Wikipedia 「倭」によると、隋・唐時代の書物に「ワ(wa)」または「ヰ(wi)」と発音したとある。そこ…

知らないと永遠にわからないままでいることもある。

「主よ、主よ。なんぞ我を見捨てたもうや」(エロイ、エロイ。ラマ・サバクタニ) キリストは十字架の上でこう叫んだ。 この語が長く私にはわからなかった。 高校の英語の先生も「さすがのキリストも苦痛に耐えられなかったのかな?」と疑問符を付けていた。…

本当に古墳はランダム配置か?

前回古墳はランダム配置だと言った。 aki104.hatenablog.com 本当にそうか、他地域で見る。 箸山古墳から北を見る まずは大型の古墳では最も古いと言われる箸山古墳から北を見る。上図の最下段にあるほっそりした形の良い(と私は思う)古墳が箸山古墳だ。池…

古墳のランダム配置

応神天皇陵周辺 衛星写真で日本の古墳群をみるとこうなる。上図は大阪府にある応神天皇陵周辺だ。一番大きいのが応神天皇陵だ。 私は、一見してそのランダム性に驚いてしまった。 前方後円墳が種々雑多な方向に向いているではないか。 これを、エジプトのピ…

邪馬台国はどこにあったか:古くて新しくて未解決の問題

邪馬台国はどこにあったか?という未解決の問題について、現状では場所を特定できる程の資料はない。 というのが、バランスのとれた考えだと思う。 といっても、バランスがとれた考えが常に正しいわけでもない。 声高に「邪馬台国はここだ。」という人の論拠…

西暦1年の世界の人口

Angus Maddisonというイギリスの歴史経済学者が西暦1年からの世界の国の人口とGDPの推計値をまとめている。Maddisonさんは2010年に亡くなっているけれどもその遺志はGroningen大学に引継がれて "Historical Statistics of the World Economy: 1-2008 AD" と…

歴史の縦と横

村上春樹さんは、早稲田大学を英語と国語ともう一つは世界史で受験したそうだ。 なぜ世界史を選んだかについて、世界史は縦と横だけおさえておけばよかったからという。 ここでいう縦とは時間的つながりであり、横とは空間的関係性(地理的つながり)だろう…

卑弥呼の使者が洛陽に到ったのは通説通り西暦239年だろうか?いいえ陳寿さんのいう西暦238年だ。

卑弥呼の使者が洛陽に到ったのは西暦239年(景初3年)というのが通説だ。 魏志倭人伝が238年(景初2年)と言っているにもかかわらず、通説は239年だ。 理由は簡単で238年には楽浪・帯方郡を支配していた公孫淵が魏と戦っている最中だからこの年はあり得ず…

夷州(台湾)と中国の関係

三国志の孫権伝に記載がある夷州は台湾らしい。実際に渡海して夷州まで行って数千人を連れてきた。これが西暦230年だ。呉は台湾まで行く大きな船をもっていた。 aki104.hatenablog.com ところがその後台湾に関する記述が中国の史書から消える。 Wikipedia「…

魏志倭人伝に続く西戎伝について

魏志倭人伝と言い慣わすけれど、正確に言うと三国志魏書烏丸鮮卑東夷伝(うがんせんぴとういでん)の中の倭人条という。魏・呉・蜀の三国志のなかの魏書の中の烏丸鮮卑東夷伝の中の最後に、倭人について記載されている小さな部分に過ぎない。 陳寿さんは中国…

親の喪に服すため職場放棄する(三国志孫権伝と晋書陳寿伝より)

「三年之喪」というのが三国志呉主伝(孫権伝)にある。 親が亡くなると3年間喪に服して身を慎まねばならない、ということらしい。 例えば戦いの最中の将軍が親が亡くなった事を理由に職場放棄する、という事が(少なくとも呉では)実際にあったらしい。 呉…

烽火:呉の光通信システム(三国志孫権伝より)

三国志孫権伝に古代の光通信システムの記載がある。 長江(揚子江)の沿岸沿いの高台でのろし(烽火)を揚げて急を知らせた。 連絡網を次々と経由して伝わるから非常に速い。一日で万里を行った(一夕可行万里)。 長江の辺境に敵が攻めてきたとしても、1日…

干支(えと)はめんどくさい(三国志呉書呉主伝(孫権伝)より)

三国志呉書呉主伝(孫権伝)に干支(えと)についての面白い記事がある。 趙暢が占って「呉は庚子に衰える。」と呉の皇帝の孫権に進言した。 孫権が「それはいつか?」と聞くと、 趙暢が指を折って数えて(屈指而計之)「58年後です。」と答えた。 孫権は「…

卑弥呼の使節の船

西暦238年、魏が公孫淵勢力を帯方郡・楽浪郡から追い出して魏の直轄地になったと同時に、卑弥呼は魏に使節を送った。 aki104.hatenablog.com 実際には次のようであったと考える。 公孫淵の支配する帯方郡・楽浪郡の役所にたまたま卑弥呼の使節がいた時に、魏…

三国志呉書呉主伝(孫権伝)から中国の船を想像する。

南船北馬という。 中国では南部は降水量が多くて河川や湖が多く主要な交通機関は船だ。北部は比較的乾燥して馬が主要な交通機関になる。 交通機関は戦いの時には兵器にもなる。三国志の時代には、魏では馬が主要兵器であり、呉では船が主要兵器だった。 西暦…

赤壁の戦いから中国の船を想像する

魏志倭人伝つまり卑弥呼の時代には、倭人は大海(対馬海峡、他)を渡る船として丸木舟しか持っていなかったらしい。 aki104.hatenablog.com そうして、丸木舟でもって大海(隠岐ー島根)を渡り切った例がある。 aki104.hatenablog.com では、卑弥呼の時代に…

1982年:縄文の丸木舟で日本海を渡った先生方がいた

縄文の丸木舟日本海を渡る : 縄文時代の再現に挑んだ教師達の記録 1982年7月24日朝4時40分:15kgの黒曜石を積込んで、丸木舟が隠岐島から本土に向けて漕ぎ出した。 乗組むのは5人の小学校の先生方だ。4人が漕ぎ最後尾の1人が丸木舟の方向を制御する。 幸い…

卑弥呼の頃の船

卑弥呼の頃に、韓半島ー対馬ー壱岐ー北九州ルートの交易があった。しかし交易のためには3つの海を渡らねばならない。どうやって渡ったか? その質問の答えてくれる面白い記事をなんと国会図書館のレファレンス共同データベースにみつけた。 crd.ndl.go.jp …

倭の地に馬はいない

下記記事中にある「乗駕牛馬」の駕は「現代中国語では、「駕」に、牛馬に農具や車をつけて引かせる、また御する、操縦するという意味があります。」というありがたいコメントを頂いた。 そこで、馬について再度考える。aki104.hatenablog.com 三国志烏丸鮮卑…

ミトコンドリアDNAによる現人類の分類

直前3-4回の日記では魏志倭人伝の「倭人」とは?からY染色体のハプログループの話になってしまった。行きがかり上ミトコンドリアDNAのハプログループも考える。 ja.wikipedia.org 上記日本語版はよくわからないから英語版も見た。 en.wikipedia.org Y染色…

Y染色体による現人類の分類

前回、前々回と日本人、倭人とY染色体の変異のタイプ別分類の対応を考えた。次は全世界の現人類はどのように分類されるか知りたくなる。そこで以下のWikipediaを参照する。 ja.wikipedia.org 全世界の現人類のタイプ別分類は、 A、B、C、D、E、F、G、H、I、J…

日本人とは

前回日本人の起源として主に4つタイプ(C1a1、D1b、O1b2、O2)の変異をY染色体にもつ人々をあげた。 ・C1a1とD1b:いわゆる縄文人:現日本人の約40% ・O1b2:三国志にいう倭人:現日本人の約30% ・O2:現中国人の大半を占める:現日本人の約20% 上…